梅雨の期間短いと景気が悪い?

「史上最も早い梅雨明け」と景気の奇妙な関係 夏場の消費にプラスでも「悪いジンクス」

気象庁は6月29日、関東甲信地方が同日に梅雨明けしたとみられると発表した。1951年の観測開始以降、同地方では最も早い梅雨明けとなり、6月中に梅雨明けしたのは初めてだという。

梅雨明けは比較的早かった昨年よりも7日早く、平年よりは22日早い。

他の地域は関東甲信地方には遅れたものの、平年より3~15日程度早い梅雨明けとなった。ちなみにこれまでは2001年の7月1日が最も早かった。

梅雨明けが早かったことで、7月を通して暑い日が続く可能性が高くなる。

例えば、7月1日から梅雨明けまでにかかった日数(今年は0になる)と7月の平均日照率や平均気温を比較すると、連動性が高い。

平均日照率と平均気温が高いほど個人消費は拡大

一般に、平均日照率や平均気温が高いほどビールやエアコンなどの売れ行きがよくなり、夏場の個人消費は増えやすいと言われる。

今回は梅雨明けが早かったことで個人消費がどの程度増加する可能性があるのかという観点から「史上最も早い梅雨明けの経済効果」を試算した。

ただし、異例に梅雨の期間が短かった年は景気が悪いことが多いというジンクスもある

7月の平均日照率および平均気温と、7月の実質消費の4~6月期平均からの伸び率を比較すると、連動性があることが分かる。

直近2年は逆方向に動いていることなどを勘案すれば、必ずしも天候だけで消費の方向性が決まるわけではないが、ある程度の関係はありそうだ。

梅雨明けのタイミングと7月の日照率・平均気温の関係と、7月の日照率・平均気温と7月の実質消費の関係を用いて、今年の7月の実質消費を推計する。

7月の梅雨の日数と平均日照率・平均気温の関係によると、今年の7月は梅雨の日数が0日になることによって平均日照率が53.6%(2000年以降の平均より17.8%ポイント高い)、平均気温が28.7度(2000年以降の平均より2.0度高い)とみられる(いずれも東京のデータ)。

また、平均日照率・平均気温と実質消費の関係によると、7月の平均日照率が1%ポイント高くなることで7月の実質消費は0.05%ポイント増え、平均気温が1度高くなることで7月の実質消費は0.53%ポイント増えることが分かった。

これらを組み合わせて考えると、平均日照率の観点からは7月の実質消費は平年より0.9%ポイント高くなり、平均気温の観点からは1.1%ポイント高くなることが予想される。

つまり、今年の7月の実質個人消費は0.9~1.1%ポイント上振れる可能性がある。

史上最も早い梅雨明けの経済効果」は2500億円

1~3月期の実質民間最終消費支出は約74.9兆円であったことから、ひと月当たりでは約25.0兆円となるため、「史上最も早い梅雨明けの経済効果」はその1.0%ということになり、約2500億円と概算できる。

年間のGDP(国内総生産)対比では0.05%程度である。

2018年度の経済成長見通しを変更するほどではないものの、四半期ベースの成長見通しにとっては重要なプラス要因となる規模である。

なお、今回の試算結果は東京の気象データを全国の個人消費に当てはめて計算したことや、梅雨の日数が少なくても台風が多く上陸する場合などで平均日照率や平均気温がそれほど高くならない可能性があること、そもそも家計の景気認識や消費マインドの変化などによって天候とは関係がない個人消費の結果になる可能性があることなど、考慮すべき要因が多々ある点には留意が必要である。

2018年の梅雨の期間は6月6日~6月28日の23日間で、これは1978年に並んで過去最短となった。

個人消費への影響を考えると梅雨の期間は短ければ短いほど景気にとってはプラスである。

しかし、過去に梅雨の期間が異例に短かった年は景気が悪いことが多かったというジンクスがある。

1980年以降で今年の次に梅雨の期間が短かったのは2001年の26日間だが、この年は米国のITバブル崩壊などもあり、景気が悪かった。

2013年も26日間で、この年は2012年11月の景気の谷を過ぎたところで、景気は低水準だった。

次に梅雨の期間が短かったのは1981年の27日間で、この年は高度経済成長が終わって安定成長期に移行する中、内需の停滞によって景気が悪かった。

1980年2月の景気の山から、1983年2月の谷に向かって景気は悪化していった時期である。

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西日本豪雨災害は数千億円の資本ストックを破壊

これはあくまでもジンクスであり、因果関係を見出すことはできないが、今年は西日本豪雨による影響が懸念される。

多くの犠牲者を出すことになった西日本豪雨は経済活動にもネガティブな影響を与えたことが明白である。

損保協会によると、過去の風水害等で保険金の支払いが最も大きかったのは1991年の台風19号による被害で、5680億円だった。

他の風水害でも金額が10位以内の災害はいずれも1000億円を超える保険金支払いとなった。

今回も数千億円規模の資本ストックの毀損は避けられないだろう。

むろん、GDPはフローの概念であるため、資本ストックが毀損した分がそのまま経済成長率を押し下げるわけではないが、被害地域の生産工場の操業停止や、サプライチェーンの寸断などの供給制約は経済成長率を押し下げることになるだろう。

逆に復旧・復興需要が生じる段階になれば、GDPにとってはプラスの面もあるなど、今後の経済指標などをつぶさに見ていくしかないが、「梅雨の期間が短い年は景気が悪い」というジンクスが今年も当てはまる可能性が高くなっている。

 

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